
「私は、いくらまで借りることができるだろう?」
住宅の購入を検討し始めたら、まずは気になる疑問ではないでしょうか。住宅展示場やモデルルームに出かけ、試しに計算してもらったところ、予想より多く借りられるという結果に満足したあなた。
実は「借りられる額」からのスタートは借り過ぎのリスクが高いため、別の観点が必要になってきます。
金融機関は、「返済負担率」を用いていくら貸してもよいかを判断します。
返済負担率は、年収に占める年間返済額の割合のことで、金融機関は年収に応じて基準を設けています。例えば年収400万円の人の返済負担率が30%だった場合、月額10万円、年間120万円(年間返済額=400万円×30%)まで借りられます。
返済負担率は、住宅ローンを組む際に1つの判断基準になります。
しかし、あくまで金融機関が貸せると判断した全額であって、あなたが安全に返済していける全額とは何ら関係ありません。
「借りられる額」を借りるのではなく、「返していける額」で借りることが大切です。
それでは、無理なく返していける額を考えてみましょう。まずは現在の家賃と管理費、車がある場合は駐車場代も加えた月額と、住宅用の積立額を合計します。
教育資金や老後資金など、住宅購入以外の目的の貯蓄は除きます。
これが購人後の住居費に充てられる金額ですが、すべてを返済に充てることはできません。購人後は、返済以外にも固定資産税や管理費、修繕積立金などがかかるからです。
一戸建ての場合も、修繕が必要になる将来に備えて積み立てていくことが必要です。
このようにして、購入前の住居費と住宅用積立ての合計額から購入後にかかる費用を引いた全額が、毎月無理なく返済していける金額の目安です。
無理のない返済額が11万円なら、期間35年、金利2.5%で借りると、借入れ上限額は3124万円になります。
ただし、現在は無理がなくても、将来も同じ状況とは限りません。子どもが大きくなれば、教育叫の負担も増えていきます。
住宅ローンの返済は長期にわたりますので、健康状態や転職による収入減など不測の事態も想定し、ゆとりを待ったローンを組むことが大切です。
返済期間が長い住宅ローンは、返し終わる年齢も意識する必要があり60歳で退職し、その退職金の全額またはかなりの金額を返済に充ててしまうと、老後の生活費の原資が減ることになります。
65歳まで働ける環境が整ってきたとはいえ、60歳以降の収入は退職直前に比べて半減してしまうことも珍しくありません。定年までの完済は必須ではありせんが、毎月の返済額だけでなく、定年退職時のローン残高を予想した資金計画も大切です。
住宅FP